下肢の運動麻痺が鍼灸で緩和された症例
症例 77歳 男性
X年8月20日に両足に力の入りにくさを自覚。近所の整形外科を受診しレントゲン検査でヘルニアによる麻痺症状と診断されて湿布での加療となる。その後も症状は悪化傾向であり仕事(造園業)に復帰するために23日に当院を受診されました。
●初診時の状態(所見)
すり足歩行で来院される。足に力が入らないため上半身も安定せずいつ転んでもおかしくない歩様。また、立位保持もできていない状態。
膝蓋腱反射・アキレス腱反射は減弱。
徒手筋力テストでは足関節背屈・底屈、拇趾底屈・背屈が3~4程度、膝の伸展は4であった(動作に対してわずかな抵抗を加えた際に打ち勝てる状態)。
●治療
腰部の筋緊張緩和
腰椎神経根の神経血流促進
●施術経過
(1診目)鍼治療直後:つま先立ちが少しできるようになる
(2診目)歩行が安定してきている、歩行時に上半身がふらつかない。
徒手筋力テストで足関節背屈・底屈、拇趾底屈・背屈が4になる
(初診時より力の入りが良くなる)
「50%ほど回復してきた。」
(3診目)「ほぼ良い気がする」
⇒仕事復帰され、施術終了
下肢の運動麻痺の原因
麻痺症状の原因は大きく分けて5つ。
①中枢性(脳の問題)
②脊髄性
脊髄自体が損傷や圧迫を受けることで麻痺が起こります。
③神経根性
脊髄から出る神経の根(神経根)が圧迫や損傷を受ける事が原因で麻痺が生じます。椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、骨の変形などによって引き起こされます。
④末梢神経
末梢神経には運動神経、感覚神経、自律神経がありその中の運動神経が障害されることで運動麻痺が起こります。腕や足で筋肉の緊張や骨の変形により神経が圧迫されて起こる手根管症候群や総腓骨神経障害等があります。
⑤内科的要因
糖尿病や甲状腺機能、ビタミンB12不足などの内科的な要因によるものがあります。
上記が麻痺の原因になります。
中枢性の麻痺の場合は病院での対応が必要になりますがそれ以外の場合は鍼灸で対応可能なケースも多くあります。